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進歩講習会「バッチプロセス工学」

平成16年11月、JBFメンバ11名により、「ビジネススピードをささえるバッチプロセス工学」という題目で化学工学会東海支部主催の進歩講習会を開催し、64名の方に受講いただきました。 お蔭様で、活発な質問が多数出て、総合討論の時間が十分に取れなかったほどフロアーの関心も高く、アンケートでも良好な評価が得られました。 当日、御参加いただきました皆さまには厚くお礼申し上げます。

講習会データ

第38回 化学工学の進歩講習会 「ビジネススピードをささえるバッチプロセス工学」

製品の多様化、短命化が進む現在、製品開発から市場化までのリードタイムの短縮が、バッチプロセスでの大きな課題となっている。 リードタイムの短縮には、製品開発、設計、計画、制御という各段階が、連動し、柔軟に変更に対応できることが望まれる。 本講習会では、柔軟・確実・敏速な管理をめざした各業務に関する研究を紹介し、さらに、現在進行している国際標準化の動きについて解説する。

日時/場所

テキスト

プログラム

第1日目 平成16年11月11日(木)9:50〜17:00

  1. バッチプロセスとレシピエンジニアリング (9:50〜10:50)

    名古屋工業大学 伊藤利昭氏

    開発から市場投入までの時間の短縮が、ビジネスでの重要な課題になっている。そのためには、研究開発からエンジニアリング、生産にいたるプロセスを体系的に整理する必要があり、そのキーとなるのが、レシピのありかたである。ここでは、レシピエンジニアリングの意義と課題を解説する。

  2. 製品開発とレシピ (10:50〜11:50)

    東京工業大学 渕野哲郎氏

    R&Dから製造へのアクティビティを整理し、開発から製造をスムーズにつなぎ、製造装置の変更、製造条件の探索をいちはやく行うためにあるべき、製品情報、プラント情報、製造手順の姿について解説する。

  3. コントロールレシピとコントロールレイヤ (12:50〜13:50)

    東京工業大学 青山 敦氏

    バッチプロセスにおけるレシピ及び操作管理をより高度化するためのプラント構造、マスターレシピ、コントロールレシピの情報モデル、データ構造について解説する。また、それを基盤するコントロールレシピの論理的生成手法についても紹介する。

  4. バッチスケジューリングシステム構築に対する諸問題 (13:50〜14:50)

    東京農工大学 北島禎二氏

    バッチスケジューリングは、計算機化や自動化が検討され続けているにもかかわらず、バッチ制御システムの中でもシステム化が遅れている。ここでは、まず生産スケジューリングの理論的な取り扱いについて概観した後、バッチスケジューリングを取り巻く現状と課題について整理し、エンタープライズ統合のための考え方について解説する。

  5. 自律分散による変更管理 (15:00〜16:00)

    名古屋工業大学 濱口孝司氏

    変更の可能性のある各装置あるいは製品情報にインテリジェンスをもたせて、自律でき、分散協調してフレキシビリティの高い操業を可能にするシステムを想定し、モジュール化される各要素の切り分け方、協調のために交換すべき情報、スーパーバイザーのためのインターフェイス、分散環境の実装方法などについて解説する。

  6. 離散事象としてのバッチプロセス制御 (16:00〜17:00)

    名古屋大学 橋爪 進氏

    バッチプロセスの制御では、センサ値を精度良くコントロールするという従来型の制御問題に加えて、装置間のユーティリティの取り合いや、移送の競合などで、稼動し続けられなくなるデッドロックを回避するという問題もある。ここでは、バッチプロセスを離散事象としてとらえて、モデリングし、デッドロックが生じないシーケンスプログラムを発生させる考え方を解説する。

第2日目 平成16年11月12日(金)10:00〜17:00

  1. バッチプロセスの運転管理システム (10:00〜11:00)

    三菱化学(株) 河野浩司氏

    処方に基づいて同一装置内で複数の単位操作を都度実施することにより繰り返し同一品質の製品を製造できるという再現性がバッチプロセスの特徴であり大きな利点である。それゆえ、付加価値の高い製品を変種変量生産するのに適している。しかし再現性を実現するためには、運転管理を精度良く実施する必要がある。そこで本講習会では、運転管理の必要性、精度、機能、手法等について事例を交えながら解説する。

  2. 国際標準規格S88およびS95の動向 (11:00〜12:00)

    森永乳業(株) 杉浦彰俊氏

    バッチおよび製造管理システムの規格原案が、米国ISAにおいて作業されている。多くのパートから構成され、順次ISO,IECの国際規格になっている。途中経過を含む、概要について解説する。また、規格応用の研究についても解説する。

  3. 制御システムの標準化 S88 (13:00〜14:00)

    横河電機(株) 脇山 昇氏

    バッチ管理の標準規格として制定されたS88 Part1について、簡単なプロセスを例題に用いて解説し、S88に準拠したバッチシステム設計の一例を紹介する

  4. 経営管理とのインターフェイスの標準化 S95 (14:00〜15:00)

    (株)山武 田中広治氏

    前半部分では、バッチプロセスに求められるビジネス課題を説明し、この、ビジネス課題を念頭におき、現在標準化が進められつつあるS95の意義、範囲、標準化手法や、バッチ制御とERP等の経営情報とのインターフェイスについて事例を含めて、後半部分で紹介する。

  5. S88とS95の統合化 (15:10〜16:10)

    東京工業大学 ラファエル バトレス氏

    バッチ・オートメーション、設備保全、品質管理およびスケジューリングにおいて使用される作業の共通の表現について議論する。S88とS95の作業の対応を概説し、S88とS95の活動を両方表わすことができる共通定義を紹介する。

  6. 総合討論(16:20〜17:00)